「あ、」
気づいたときには、勢いよく注がれると思った液体はガラスボトルのなかで激しく上下していた。
ベリーレモネード。
なまえも色(濃いピンクだけど透きとおっている)もクラシックなボトルも可愛くて迷わず頼んだそれは
みた目どおりあまくて、シロップみたいな味がした。
「キャップ、しまっとうね」
本当におかしくて仕方ない、といった様子でくっくっと笑われて、銀が揺れた。
「言ってよ!ぜんぜん気づかなかったじゃん!」
「いや、どうするんかなー思って」
「あくしゅみ」
にやにやといたずらに笑う仁王くんに見つめられ続けるのは、心臓に悪い。
あわててキャップをはずしてボトルを傾けたら、今度は勢いがついてグラスのふちぎりぎりまで入ってしまう。
「あーもう‥」
「なあ、、それ、わざと?」
「そんなわけないじゃん!なんでよ」
「かーわい」
からかうような切れ長の目と、うすく開いたくちびるは昼下がりのカフェにはあまりふさわしくない
色気でわたしをまた慌てさせる。